こんにちは、Hanna☆ブログのYukiです。
先日、(一財)日本食品分析センター主催の「HACCP講習会:3日間コース」を受講してきました。
食品製造・品質管理の現場に約15年携わってきましたが、今は現場から少し離れた立場にいます。
それでも「HACCP、ちゃんと体系的に学び直したいな」とずっと思っていて、今回ようやく受講が実現しました。
この記事では、実際の3日間のスケジュール、講習の中身、そして受けてみて感じたことを、なるべく具体的に、でも講習会の教材そのものは載せない範囲でまとめていきます。
「受講を迷っている」という方の参考になれば嬉しいです。
※本記事は、あくまで個人の受講レポート・感想です。日本食品分析センターの公式見解ではありません。
また、講習で使用したテキストやワークシート、演習で作成した危害要因分析表・HACCPプランそのものは著作物にあたるため、内容の丸写しや詳細な書き起こしは行っていません。
講習会の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 講習会名 | HACCP講習会:3日間コース |
| 主催 | 一般財団法人 日本食品分析センター |
| 会場 | 日本食品分析センター 東京本部(東京都渋谷区元代々木町52-1) |
| 参加費 | 44,000円(税別)/1名(昼食代込み) ※開催時期・回によって変動する可能性あり |
| 定員 | 30名(1企業・1工場あたり最大2名まで) |
| 日程 | 3日間 |
| スケジュール(目安) | 1日目 9:30〜18:00/2日目 9:00〜19:00(20時頃までかかることもあり)/3日目 9:00〜17:00 |
💡 定員や日程、金額は変更される可能性があるので、受講を検討されている方は必ず日本食品分析センターの公式セミナーページで最新情報をご確認ください。
HACCPは「ハサップ」でも「ハセップ」でもどちらの読み方でも間違いではないそうです(導入当初は「ハシップ」と呼ぶ人もいたそうですが、現在は「ハサップ」または「ハセップ」が主流とのこと)。ちなみに私はいつも「ハサップ」と呼んでいます。
1日目:座学でHACCPの基礎を固める(9:30〜18:00)
初日はガイダンスからスタート。講師の自己紹介、講習会の説明のあと、参加者同士も所属企業と名前、この講習で達成したい目標を一言ずつ自己紹介しました。
参加者の年齢層は幅広く、新卒の方も1名いましたが、基本的には少数派という印象でした。
メインは20代後半〜30代、40代の方も比較的多く見られたので、「若い人ばかりだったらどうしよう」と心配する必要はあまりなさそうです(もちろん開催タイミングによって多少の変動はあると思います)。
その後は終日座学です。休憩を挟みながら、以下のような内容を学びました。
- 用語の定義(HACCPとは、危害要因とは)
- 一般衛生管理プログラム
- HACCP適用のための準備段階
- 危害要因分析の概要
- HACCPの歴史
- 7原則12手順の全体像
- 危害要因(生物的・化学的・物理的)それぞれの深掘り
特に危害要因のパートは時間をかけて丁寧にやってくれた印象です。
生物的危害要因では菌の死滅温度や増殖抑制の考え方(低温では発育限界温度を下回ると増殖が止まる、など)、化学的危害要因ではヒスタミン食中毒のような具体例、物理的危害要因では異物混入のリスクなど、それぞれのカテゴリでどんなリスクがあるのかを一つずつ確認していく流れでした。
昼食は3日間とも違う業者のお弁当が用意され、会場の後方には飲み物(ペットボトル飲料、インスタントコーヒー・紅茶)や飴も常時用意されていて、休憩のたびについ手が伸びてしまいました。
1日目はほぼ予定通り、18時に終了・解散でした。
2日目:CCP決定までの理論とグループ演習スタート(9:00〜19:00予定)
2日目は演習の時間が長いため、終了予定が19時と長丁場です(実際は20時近くまでかかることもあるそうです)。
午前:CCP決定に向けた理論
- 重要管理点(CCP)の決定方法
- 管理基準(CL)の設定
- モニタリング方法の設定
- 改善措置の設定
- 妥当性確認・検証手順の設定
架空の企業・製品を題材に、実際に危害要因分析を進めていく形式で学びました。
<2日目のお弁当>

午後:グループ演習開始
昼食を挟み、午後からはいよいよグループ演習です。
演習では、3つの製品案(チルド食品/冷凍食品/レトルト食品)の中から、自分が取り組みたいものを選んで名前を書き、それをもとに5グループに分かれました(チルド1グループ、冷凍2グループ、レトルト2グループ)。
私はレトルトのグループになりました。
グループではまず自己紹介から始まり、リーダー(ファシリテーター役)をじゃんけんで決めます。
その後、製品説明書や工程フローシートをもとに、自分たちで架空の工場を設定するところからスタートしました。
- 会社名、規模
- 創業からの年数(新しい会社か、老舗か)
- 取り扱い品目数(専業か、多品目か)
こうした設定を自分たちで考えるところから始まるのが面白いところです。
工場の姿が変われば、同じ製品でもリスクの見え方が変わってくるからです。
なので、なるべく細かい部分まで具体的に設定することが大切です。
工場設定が終わったら、工程フローダイアグラムに沿って、各工程ごとに生物的・化学的・物理的の3つの観点で潜在的な危害要因を洗い出す作業に入りました。
- 工程ごとに、コントロールすべき潜在的な危害要因を書き出す
- その危害要因が「重要かどうか」をYES/NOで判定し、判定根拠を明記する
- YESの場合、その危害要因の管理手段を検討する
- その工程がCCP(重要管理点)になり得るかをYES/NOで判定する
これを全工程について行い、CCPの決定までを2日目のうちに終わらせます。私たちのグループも、終了予定の19時を少し超えてしまいました。
3日目:HACCPプラン作成〜発表〜修了試験(9:00〜17:00予定)
午前:HACCPプランの作成
3日目は朝からグループ演習の続きです。
前日決定したCCPをもとに、各グループがHACCPプランを作成します。
ここで面白かったのが、同じ製品を担当するグループが2つありましたが、「まったく同じCCPにならなかった。」ということです。
CCPは工場の構造や工程、使用する設備、考え方によって変わりうるものなので、同じ製品だからといって同じCCPになるとは限らない、というのがその理由でした(この点については後ほど詳しく書きます)。
HACCPプランでは、決定したCCPについて以下の項目を組み立てていきます。
- 重要な危害要因は何か
- 管理基準(CL)は何か
- モニタリング:何を・どのように・どのくらいの頻度で・誰が行うか
- 改善措置:管理基準を外れたときにどう対応するか
- 検証方法
- 記録:何を記録として残すか
これを午前中いっぱいかけて完成させました。ちなみに3日間のお弁当の中では、3日目が一番美味しかったです(地味に大事なポイントだと思います)。
<3日目のお弁当>

午後:グループ発表
午後は各グループの発表です。リーダー以外のメンバーが発表者となり(これもじゃんけんで決めることが多いそう)、以下のような形式で発表しました。
- 受け入れ・保管の工程までは、生物・化学・物理それぞれのリスクの有無とCCPになり得るかまでを発表
- それ以降の工程は、「重要な危害要因」と判定された項目のみに絞って発表
- 最後に、最終的にCCPと決定した工程のHACCPプランを発表
発表後は他グループからの質疑応答、そして講師からのフィードバックがありました。
ここで印象的だったのが、講師の方が基本的に「間違っている」という否定はしない、というスタンスだったことです。
CCPは工場の構造・工程・設備・考え方・関連法規など、さまざまな要素によって変わりうるものなので、唯一の正解があるわけではない、というのがその理由でした。
ただし根拠が弱い場合は「この工程をCCPとして管理するには、この点の根拠が足りない」「この工程にもこういうリスクがあるのでは」といった総評はしっかりもらえました。
13時から16時近くまで、発表とフィードバックの時間にあてられました。
修了試験
発表が終わったあとは修了試験です。
全12問、8問以上の正解で合格という基準でした。
テキストや資料の持ち込み・閲覧はOK(オープンブック形式)ですが、時間にあまり余裕はないので、まず一通り解いてから、わからないところだけテキストで確認する進め方がおすすめです。
無事合格し、修了証をいただいて講習会は終了となりました。
試験期間中はアンケート(初日から配布され、項目ごとに随時記入できる5段階評価形式)を提出し、質疑応答があれば対応して、そのまま解散という流れでした。
受講してみて感じたこと
「すでにHACCPチームがある現場」だからこそ得られた気づき
正直に言うと、今は工場での品質管理業務そのものからは離れているので、「明日からこう変えよう」という直接的なアクションにすぐつながるわけではありません。
これからHACCPチームを立ち上げるスタートアップ的な企業であれば、この講習の内容はそのまま即戦力になると思います。
一方で、すでにHACCPチームがあり、書類や記録のフォーマットが既に整っている現場では、日々の業務は「決まった書類を、決まった通りに更新する」という運用になりがちです。
今回の講習を受けて感じたのは、「なぜその書類が必要なのか」「なぜその記録項目が存在するのか」という背景を理解し直せたことが、大きな収穫だったということです。
たとえば、モニタリング記録に日付だけでなく時間まで書くことになっていたり、対応内容の記載が求められていたりする項目。
現場にいたころは正直「面倒だな」と省略してしまうこともありました。
でも今回、なぜその記載が必要なのかという理屈から理解できたことで、過去に自分が工場で作成・運用していた記録も「ああ、こういう考え方で作られていたんだ」と、改めて腹落ちする感覚がありました。
CCP(重要管理点)は「最後の砦」
もう一つ、特に印象に残っているのがCCPの考え方です。
工程の中には、健康被害につながりうるリスクを排除・低減するための対策(検査や管理手順)がいくつも組み込まれています。
CCPは、その中でも**「ここで対応できなければ、それ以降の工程ではもう取り除けない」「取り逃せば、そのままお客様の手元に届いてしまう」という、リスク低減の最後の砦にあたる工程**を指します。
そしてどの工程をCCPに設定するかは、工場の構造、工程の流れ、使用する機械や設備、そして会社としての考え方など、無数の要素が組み合わさって決まる、いわば「会社としての意思決定」です。
だからこそ、同じ商品を作っていても、工場が違えばCCPが変わることもある――3日目の演習で講師が「同じ製品を担当するグループ同士でも、同じCCPにならないように」と指示していたのは、まさにこの点を体感させるための工夫だったのだと思います。
この「唯一の正解があるわけではない」という前提を理解できたことは、今後どこかの工場のHACCP運用を見る機会があったときに、「なぜこの工程がCCPなのか」を自分なりに考える土台になりそうです。
この講習会、修了証はどう活かせる?
日本食品分析センターの公式案内には、この「HACCP講習会:3日間コース」が、厚生労働省の総合衛生管理製造過程の承認制度における「HACCPシステムについての相当程度の知識を持つと認められる者」の要件等に関する講習会に相当し、FSMS(食品安全マネジメントシステム)審査員の資格基準であるJRCA AF140が定める「概ね3日間のHACCP講習の修了」という要件に対応している、と明記されています。
私自身、将来的にISO 22000の審査員資格取得を視野に入れているのですが、今回の修了証はその要件の一部を満たすエビデンスとして活用できそうです。
ISO 22000に限らず、FSSC 22000など他のFSMS関連資格を目指す方にとっても、この修了証が知識面の証明として役立つ場面がありそうです。
※審査員登録の具体的な要件は認証機関や資格によって異なるため、実際に活用を検討される場合は、ご自身が目指す資格の登録機関に個別に確認されることをおすすめします。
おまけ:帰りに立ち寄った代々木八幡宮
会場の日本食品分析センター東京本部は、代々木八幡駅から近い立地です。近くには代々木八幡宮という神社があり、都内でも屈指のパワースポットとして紹介されることが多い場所だそうです。
緑豊かな森の中に鎮座していて、縁結びや出世運のご利益で知られているのだとか。


3日間の講習を終えた達成感もあいまって、帰り道にお参りしてきました。
まとめ
3日間、朝から晩まで座学とグループ演習に集中する、なかなか濃い講習会でした。
- 現役でHACCPチームを立ち上げる立場の方には、7原則12手順から演習まで体系的に学べる実践的な内容
- すでにHACCPチームがある現場の方には、日々の書類・記録の意味を理解し直すいい機会
- FSMS審査員資格を見据えている方には、修了証が知識証明の一部として活用できる可能性あり
という感じで、立場によって得られるものが変わってくる講習会だと感じました。受講を迷っている方の参考になれば嬉しいです。
