【品質管理15年】カビ・とろみ・異臭のクレーム対応|微生物疑いを見抜く3つのサイン(最初は客先要因に見える)

食品衛生・品質管理の知恵袋

この記事でわかること

  • 微生物疑い(カビ・とろみ・異臭)の初動
  • 「客先要因に見える」状態から、工程内の原因へ辿る考え方
  • 工程を輪切りにして原因を潰し込む(切り分け)手順
  • 異常が拡大したときのリスク(回収・信用・事業への影響)

はじめに:微生物系は“あとから大きくなる”ことがある

微生物が疑われるクレームは、最初は
「開封後に放置したのでは?」など客先要因に見えることがあります。

でも、同様の申し出が続く/社内の検査でも出る/頻度が増える…となると、
工程内のどこかに“溜まり場(盲点)”がある可能性が上がります。


0. 最優先:現物は冷蔵保管、検査は早めに

微生物系は時間で状態が変わります。
現物確認後は原則 冷蔵保管。微生物が疑われる場合は、可能な範囲で 受領直後に検査を優先します。


1. 微生物疑いとして扱う典型パターン

  • カビがある/黒点がある/浮遊物がある
  • とろみがある/糸を引く/粘る
  • 異臭がする(カビ臭、酸っぱい臭い、腐敗臭など)
  • 容器が張っている(形態による)

2. 工場起因を疑う「3つのサイン」

サイン①:同様の申し出が複数回続く

サイン②:社内の検査でも“たまに”出始める

サイン③:時間とともに発生頻度が増える(汚染が“成長”している)

3つが揃うほど「偶発」ではなく、工程内の“盲点”を疑う優先度が上がります。


3. 原因探索の考え方:工程を“輪切り”にして境界を探す

原因を探すときは、「一気に当てにいく」より、
どこまでは問題なくて、どこから問題が出るのかを見つける方が現実的です。

イメージとしては、工程を輪切りにして、段階ごとに「ここはOK」「ここが怪しい」を積み上げていきます。

例:輪切り(切り分け)の進め方(一般化)

  • 原料・受入 → 調合 → 殺菌 → 充填 → 包装 → 保管・出荷
    のように工程を区切り、記録と検査結果を照らし合わせます。
  • 製造当日の保存品がOKなのか
  • 工程検査で兆候があるのか
  • **特定のライン・特定の時間帯(出だし/終わり)に偏っていないか
  • 同じロット/同じ原料に偏っていないか

「出だし」に偏ることがある(理由:停止中の吸い込み)

微生物系の異常は、理屈上はどのタイミングでも起こり得ます(例:カビの胞子は入る時は入る)。
ただし、原因によっては 「出だし」に偏ることがあります。

例えば配管の亀裂などで、製造が止まっている間に“吸い込み”が起きている場合、
次の製造開始直後(出だし)で影響が出やすいです。
製品が流れ始めると配管内の圧力が大きくなり、吸い込みは起こりにくくなるため、
結果として 出だしの製品で異常が出やすいという見え方になります。

この「境界」を探す作業が、原因特定への近道です。


4. 現場で実際にやること:拭き取り検査で“溜まり場”を探す

工程内に盲点が疑われるとき、
**拭き取り検査(環境/設備の汚れ確認)**で怪しい箇所を探すことがあります。

  • 洗浄で届きにくい死角
  • 分解しないと見えない部位
  • 湿りやすい場所、結露が出やすい場所
  • 外から見えない配管や二重構造

「ここが怪しい」と仮説を立てて、拭き取りで確認しながら絞っていく。
その結果、次の“盲点パターン”に繋がります。


5. 工程内の“盲点”になりやすいパターン(一般化)

パターンA:自動洗浄(CIP)でも届かない“死角”

自動洗浄を前提にしていても、構造上、洗浄液が届きにくい箇所が存在することがあります。
そこに汚れや微生物が蓄積すると、ある時点から影響が表面化します。

パターンB:外から見えない配管・二重構造の異常

結露対策などの二重構造は、内側の異常(亀裂など)が外から見えにくく、
停止中の吸い込み→次の製造開始時(出だし)で影響、というパターンが起こり得ます。

共通点は「前提として疑いにくい場所」「外から見えない場所」が盲点になること。


6. なぜ“調査”が重要か:放置すると企業に大ダメージになり得る

微生物系の異常は、放置したり見逃したりすると、
製品回収・営業停止・信用毀損など、企業に大きなダメージを与える可能性があります。

最悪の場合、食中毒の発生につながったり、
取引停止や売上の大幅減少など、事業継続リスクになることもあります。

だからこそ、
「ゼロは言い切れない」前提で、
異常が出たら、工程を輪切りにして原因を潰し込むことが大切です。


まとめ

  • 微生物疑いは「カビ・とろみ・異臭」
  • 3つのサイン(続く/社内でも出る/頻度増)が出たら工程内の盲点を疑う
  • 原因探索は「工程を輪切り」にして境界を探す
  • 拭き取り検査で“溜まり場”を探し、死角や配管の盲点に辿る
  • 放置は回収・信用毀損につながり得る。だから調査が重要

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