【品質管理15年】起きてからでは遅い!異物混入・クレーム発生時の「初動30分」マニュアル

食品衛生・品質管理の知恵袋

「お料理に髪の毛が入っているんですけど……」

「飲み物の中に、何かプラスチックのような欠片が……」

お客様からのこの一言。何度経験しても、心臓がバクバクしますよね。

年中起こることではないからこそ、いざという時にどう動けばいいか分からず、初動を誤って炎上させてしまうケースも少なくありません。

今回は、飲食料品製造メーカーで数多くの「ご指摘品調査」を行ってきた私の経験から、クレーム発生時の「初動30分」でプロが何を見ているのか、その裏側を公開します!


1. 工場調査の裏側:実は「入らない仕組み」がある

私が工場にいた頃、異物混入の指摘があると、徹底的に「犯人探し」ならぬ「原因探し」をしました。

実は、多くの場合は「工程内で入る可能性は極めて低い」ことが科学的に証明されます。

  • 金属・プラスチック: 金属検知器や、目立つ色(青色など)の備品使用により、混入すればすぐに弾かれる仕組みがあります。
  • 大きな虫: 液体製品の場合、細かなフィルターを通るため、3〜5cmもあるような虫が入ることは物理的に不可能です。
  • 加熱の有無(カタラーゼ試験): 「生きている虫が入っていた」という指摘には、薬品(オキシドール)を使って検査をします。

プロの豆知識:カタラーゼ試験

生物の細胞に含まれる酵素「カタラーゼ」は、加熱されると壊れます。

2H₂O₂(過酸化水素) → 2H₂O(水) + O₂(酸素)

異物にオキシドール(過酸化水素水)をかけ、酸素の泡が出るかどうかで、「殺菌工程(熱)を通ったものか、後から入ったものか」を判定できるのです。

このように、工場のプロは「根性」ではなく「ロジックと科学」で調査をしています。


2. 店舗で異物指摘を受けた時の「初動30分」

お店で指摘を受けた場合、工場のような精密な検査はできません。だからこそ、**「事実確認」と「誠実な対応」**がすべてです。

① まずは「現物」を丁寧に預かる

「申し訳ございません」と謝罪した上で、可能であれば異物の現物を預かります。この時、お客様の目の前で写真を撮らせていただくのも有効です。

② 店内の「類似物」を光速でチェック

異物を受け取ったら、バックヤードで以下のことを確認します。

  • 同じ素材のものが店内にないか?(容器の欠片、調理器具の破損など)
  • スタッフの持ち込み品ではないか?
  • 調理工程で混入するタイミングはあったか?

③ 髪の毛のリスクを振り返る

異物で意外と多いのが髪の毛です。髪の毛は細いため、工場のフィルターをすり抜けてしまうリスクがゼロではありません。

だからこそ、日頃から「指定の帽子を正しく被る」「粘着コロコロを徹底する」といった当たり前のルールが、お店を守る唯一の証明になります。


3. 「犯人探し」ではなく「再発防止」の姿勢で

お客様の中には、「最初から入っていたはずだ」と思い込まれている方もいらっしゃいます。

ですが、そこで「うちの工程では入りません!」と突っぱねるのは逆効果です。

「当店の工程ではこのような対策をしておりますが、今回ご不快な思いをさせた事実は重く受け止め、原因を徹底調査いたします」

この姿勢が大切です。お客様が食べ始めた後の混入はタイミングの特定が難しいですが、だからこそ「日頃の管理記録(掃除や点検のログ)」が、お店の誠実さを裏付けてくれます。


まとめ:初動の冷静さがお店の未来を決める

クレームは、お店の弱点を見つけるための「通信簿」のようなものです。

  1. 現物を確保し、科学的な視点(加熱の有無など)を意識する
  2. 店内の備品やスタッフの装備に不備がなかったか即座に確認する
  3. 事実に基づき、誠実かつロジカルに対応する

パニックにならず、まずは深呼吸。このマニュアルを思い出して、落ち着いて一歩目を踏み出してくださいね。


次回のテーマはいよいよ最終回:「15年の知恵を凝縮!毎日を『安心』に変える最強チェックリスト活用法」をお届けします。

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