【品質管理15年】実録!クマネズミとの3ヶ月にわたる死闘。垂直移動する強敵をどう追い詰めたか

食品衛生・品質管理の知恵袋

これまで防虫・防鼠(ぼうちゅうぼうそ)の基本をお話ししてきましたが、今回は私が飲食料品製造メーカーで「防虫リーダー」を務めていた時代に経験した、最も過酷で、最も学びの多かったエピソードをお話しします。

それは、知能が高く、身体能力も抜群な「クマネズミ」との3ヶ月にわたる死闘です。


1. クマネズミが「最強の敵」である理由

ネズミの中でも、クマネズミは特に厄介です。なぜなら、彼らにはこんな特徴があるからです。

  • 垂直移動が得意: 壁をスイスイと登り、天井裏や機械の裏など、人間の目が届かない「高い場所」を住処にします。
  • 驚異の繁殖力: 生後3ヶ月で大人になり、一度に5〜8匹、年に5〜6回も出産します。文字通り「ねずみ算」式に増えていくのです。
  • 高い警戒心: 大人のネズミは非常に賢く、見慣れない罠(わな)にはなかなか引っかかりません。

一度侵入を許してしまうと、駆除は困難を極めます。


2. 業者任せにしない「自衛の調査」

私たちの現場でも、ある日ネズミの侵入が見つかりました。 専門業者にお願いするのは当然ですが、私は**「業者に丸投げ」では解決しない**と考え、自分たちでも調査を開始しました。

  • 天井裏の調査: 点検口から天井裏を覗き込み、自分たちでエサを仕込んで生息場所を特定しました。
  • 場内外見回り: 食害のあった場所以外に、異常は見られないか?どこから侵入し、どこを通っているのか。工場内にとどまらず、外周も住処になるような箇所は無いか見回りました。

「お金を払っているんだから業者がやってよ」というスタンスではなく、現場を一番知っている自分たちがアイディアを出し合う。 これが解決への第一歩でした。


3. あらゆる手段を講じた「3ヶ月の包囲網」

私たちは業者と協力し、考えつく限りの対策を繰り返し行いました。

  1. 粘着トラップの敷き詰め: 通路と思われる場所にトラップを敷き詰めました。子供のネズミはよく捕まり、一つのトラップに3匹かかっていたことも……。ただ、これには**「人間もよく捕まってしまう」**という思わぬ副作用もあり、現場の切実さが伺えました。
  2. ハイテクと自然の融合: 超音波防鼠機(ぼうそき)を設置する一方で、ハーブ系の防鼠材を置くなど、多角的にアプローチしました。
  3. 暗視カメラの導入: どこから侵入し、どこを通っているのか。夜間の動きを映像で徹底的に記録しました。
  4. 侵入経路の徹底封鎖: 映像で特定したわずかな隙間を、一つずつ確実に塞いでいきました。

4. ついに訪れた、終わりの瞬間

戦いが始まって3ヶ月。 暫く捕獲がないと喜んだと思ったら、翌朝には「鼠の捕獲がありました」との連絡が入る。といった繰り返しの中、

ついに、警戒心の強かった**「母ネズミ」を捕獲**することに成功しました。

それ以来、あんなに悩まされていたネズミの姿をピタッと見かけなくなったのです。 この経験から私が学んだのは、「入らせない環境づくり」がいかに大切か、ということです。一度入られてしまえば、どれほどの労力が必要になるか身をもって知りました。


まとめ:現場の「目」と「行動」がお店を守る

ネズミ駆除は、業者さんの技術と、現場の皆さんの「気づき」の共同作業です。 フンが落ちていないか、壁際が汚れていないか。日々のチェックが、大きな被害を防ぐ唯一の手段になります。

もし今、ネズミに悩まされている店長さんがいたら、まずは業者さんと一緒に**「侵入経路を特定すること」**から始めてみてください。


次回のテーマは:「工場の視点をカフェに。店舗の価値を上げる『5S(整理・整頓・清掃・清潔・習慣)』のススメ」をお届けします。

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