【品質管理15年】冷蔵庫を過信しないで!食材を守る「正しい温度」と詰め方の鉄則

食品衛生・品質管理の知恵袋

「とりあえず冷蔵庫に入れたから大丈夫」 そう思って、食材を奥までぎゅうぎゅうに詰め込んでいませんか?

実は、食品事故の原因として意外と多いのが、この**「冷蔵庫への過信」**です。 15年の品質管理の現場(飲食料品製造メーカー14年、カフェ1年強)で私が学んだのは、冷蔵庫は正しく使わなければ「菌を増やす箱」になりかねない、という厳しい現実でした。

今回は、絶対に守るべき**「法律上の基準温度」**と、食材の命を繋ぐための管理術をお伝えします!


1. 意外と知らない?法律で決まっている「守るべき温度」

冷蔵庫や冷凍庫の温度は、個人の感覚ではなく**食品衛生法(食衛法)**という法律でしっかりと基準が定められています。

冷蔵庫は「10度以下」が法律の基準

食品衛生法の「保存の方法の基準」では、多くの食品において**「10度以下」**で保存することが義務付けられています。

ただし、ここで注意したいのが**「管理の目標温度」です。 冷蔵庫は扉を開け閉めするたびに温度が上がります。法律ギリギリの10度を目標にしていると、忙しい時間帯にはすぐ基準を超えてしまいます。だからこそ、現場では「5度前後」**を目標に設定し、余裕を持って法律をクリアするのがプロのやり方です。

冷凍庫は「ー15度」?それとも「ー18度」?

冷凍庫についても、法律上の基準が存在します。

  • 食品衛生法の基準: 冷凍食品の保存基準は**「ー15度以下」**。
  • プロの推奨基準: 私の前職でも採用していた基準ですが、国際的な指標や業界のスタンダードでは**「ー18度以下」**が推奨されています。

ー18度以下に保つことで、微生物の増殖を完全に止めるだけでなく、食材の酸化(油脂の劣化など)も抑えて美味しさを保つことができます。「ー15度」は最低限守るべきライン、「ー18度」は品質を守るためのライン、と覚えておきましょう!


2. 冷気の通り道を作る「7割収納」のルール

冷蔵庫の庫内は、常に冷たい空気が循環していることで温度が保たれています。ぎゅうぎゅうに詰め込んでしまうと、冷気が遮られ、場所によって温度が上がってしまう「温度ムラ」が発生します。

私が現場で推奨しているのは、**「庫内の収納は7割まで」**というルールです。

  • 隙間を空ける: 冷気の吹き出し口を塞がないよう、壁際や食材同士の間にゆとりを持たせます。
  • 段ボールは持ち込まない: 段ボールは汚れや虫の混入リスクがあるだけでなく、断熱材の役割をして食材を冷えにくくしてしまいます。必ずプラスチック容器などに移し替えましょう。

3. 上下段の「配置」で二次汚染を防ぐ

冷蔵庫の中での配置にも、プロならではの決まりがあります。 それは、**「加熱済みのもの(完成品)は上、生のものは下」**というルールです。

  • 上段: サラダ、サンドイッチ、下処理済みの加熱用食材など。
  • 下段: 生肉、生魚など、ドリップ(汁)が出る可能性があるもの。

もし、上段に生肉を置いてしまい、そこから菌を含んだドリップが下のサラダに垂れてしまったら……。考えただけでも恐ろしいですよね。「万が一、汁が垂れても大丈夫な配置」を徹底することが、二次汚染を防ぐ基本です。

スペース的に可能であれば、生肉や生魚などの過熱が必要な食材と、サラダやサンドイッチなどの加熱せずにそのまま食べる食材は、冷蔵庫の部屋を分けるのが望ましいです。更には、アレルギーを含む食材と含まない食材の分離も大変重要です。


4. 温度記録は「機械の健康診断」

「毎日温度を測って記録するのは面倒だな」と感じている店長さんも多いかもしれません。 ですが、温度記録は単なる事務作業ではなく、**「冷蔵庫の健康診断」**です。

  • 故障の予兆に気づく: 「最近、少しずつ温度が上がってきているな」という変化に気づければ、完全に壊れて食材が全滅する前に修理を呼ぶことができます。
  • 現場の意識を高める: 「扉を開けっ放しにしない」といった現場のルール作りにも、客観的なデータ(温度記録)は大きな説得力になります。

記録を残すことは、もしもお店で健康被害が発生してしまった場合、お店の管理状態を証明する重要な証拠となります。しっかり管理していても、証拠がなければ、安全を保証できなくなってしまいます。面倒臭がらずに必ず記録を残すようにしましょう。


まとめ:冷蔵庫を「最高の味方」にするために

冷蔵庫・冷凍庫は、正しく使えば食材の鮮度を保ち、お店の利益(ロス削減)を守ってくれる最強の味方です。

  1. 冷蔵は10度以下(目標5度)、冷凍はー15度以下(目標ー18度)
  2. 詰め込みは7割まで、段ボールは持ち込まない
  3. 上段は完成品、下段は生もの

まずは今日、お店の温度記録表を見返して、温度の変化が起きていないかチェックすることから始めてみませんか?


次回のテーマは:「異物は入り口でブロック!届いた食材の『ここだけは見てほしい』3つのサイン」をお届けします。

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